祝日がなぜ存在するのか、その意味を知っておくことは大切です。
今回は特に由来がわかりにくいと言われる「文化の日」に焦点を当ててみました。
文化の日が祝日として定められた理由やその意義について、この機会に理解を深め説明できるようになりましょう。
文化の日とは?
敬老の日やスポーツの日(体育の日)、こどもの日などは、名前から祝日の由来が想像しやすいですが、「文化の日」とはどのような日なのでしょうか?
文化の日は1948年に国民の祝日に関する法律(祝日法)によって制定されました。
「自由と平和を愛し、文化を進める」という理念を掲げています。
この日は、1946年11月3日に日本国憲法が公布されたことに由来しています。
実際、11月3日は文化の日として制定される以前から明治天皇の誕生日(明治節)として祝日でした。
当時の首相、吉田茂は、意図的にこの日を日本国憲法の公布日とし、四大節(四方節、紀元節、天長節、明治節)と関連付けたとされています。
文化の日のイベント
文化の日に行われる大きなイベントとして、「文化勲章」の授与式が挙げられます。
テレビでその様子を見たことがある方も多いでしょう。
文化勲章は、皇居宮殿松の間で天皇陛下から直接授与されます。
この勲章の受賞者は、文化審議会で選ばれた科学功労者の中から、文部科学大臣が毎年おおよそ5名を選考します。
また、その年にノーベル賞を受賞した人には、文化勲章をまだ受賞していない場合、慣例として授与されることがあります。
その他にも、文化の日には美術館や博物館が無料で公開されるほか、教育に関連する講座も行われます。
文化の日と憲法記念日の関係
祝日法が成立した当初、11月3日を憲法記念日にしようという案もありました。
しかし、戦後の日本を監督していたGHQから許可が下りなかったため、最終的に「文化の日」という祝日が制定されました。
なお、「公布」と「施行」の違いが分かりにくいと感じる方もいるかもしれません。
公布とは「成立した法律を広く周知すること」を指し、施行とは「その法律が実際に効力を持ち始めること」を意味します。
つまり、法律が公布されても、すぐに新しい法律が適用されるわけではありません。
この場合、公布は「1947年5月3日から日本国憲法に切り替わります」と国民に知らせたことを指し、施行は実際に日本国憲法が効力を持ち始めた日を意味します。
Culture Day
文化の日を英語で表すと「Culture Day」となります。
シンプルな言葉なので、意味はすぐに伝わると思います。
ただし、実際に海外の方に文化の日の背景や意義を説明するのは少し難しいかもしれません。
ちなみに、海外には日本のような文化の日は存在しないそうです。
2024年祝日一覧
<2024年祝日一覧>
1月
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元日(1日)、成人の日(8日)
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2月
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建国記念の日(11日)、振替休日(12日)、天皇誕生日(23日)
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3月
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春分の日(20日)
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4月
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昭和の日(29日)
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5月
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憲法記念日(3日)、みどりの日(4日)、こどもの日(5日)、振替休日(6日)
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6月
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なし
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7月
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海の日(15日)
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8月
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山の日(11日)、振替休日(12日)
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9月
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敬老の日(16日)、秋分の日(22日)、振替休日(23日)
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10月
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スポーツの日(14日)
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11月
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文化の日(3日)、振替休日(4日)、勤労感謝の日(23日)
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12月
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なし
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※上記の祝日には「国民の祝日」「国民の休日」「振替休日」を含みます。
まとめ
文化の日には、美術館などが無料公開されるため、芸術に触れて感性を高める日という印象を持つ人も多いでしょう。
しかし、この日はもともと明治天皇の誕生日や日本国憲法が公布された日であり、日本の歴史と深い関わりがあります。
今年の文化の日には、芸術や文化に親しむだけでなく、自由と平和を享受している現在の日本の歴史を振り返る一日にしてみるのも良いかもしれません。