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2025年「土用の丑の日」はいつ?うなぎを食べる理由

日本の夏の風物詩といえば、さまざまなものがありますが、「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣は、今や多くの家庭に定着している夏の年中行事のひとつです。

ですが、その由来や意味、そもそも「土用」って何?と思われる方も意外と多いのではないでしょうか。

2025年の夏は、7月に2回の「土用の丑の日」が訪れます。

この機会に、うなぎに込められた先人の知恵や、土用という暦の背景、そして現代のうなぎ事情までをじっくり紐解いていきましょう。

 

2025年の「土用の丑の日」は2回あります!

2025年(令和7年)の「土用の丑の日」は、以下のようになっています。

2025土用の丑の日

夏:7月19日(土)、7月31日(木)
冬:1月20日、2月1日
春:4月26日
秋:10月23日、11月4日

 

特に注目されるのはやはり夏の土用。

気温が最も高くなる時期と重なり、体力を消耗しがちなこの季節に、栄養価の高いうなぎを食べて元気をつけようという風習が広まりました。

夏に2度丑の日が巡る年は、より多くの人がその文化に親しむ機会でもあります。

【土用の丑の日(夏)2025~30年】

一の丑 二の丑
2025年(令和7年) 7月19日 7月31日
2026年(令和8年) 7月26日 なし
2027年(令和9年) 7月21日 8月2日
2028年(令和10年) 7月27日 なし
2029年(令和11年) 7月22日 8月3日
2030年(令和12年) 7月29日 なし

 

 

「土用」とは?

「土用」と聞くと夏のイメージが強いですが、実は年に4回、各季節に存在します。

その期間は、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間とされており、つまり季節の変わり目を示す特別な暦の時期です。

この考え方の背景には、中国の古代思想「陰陽五行説」があります。

自然界のすべてを「木・火・土・金・水」という五つの元素で説明するこの学説では、それぞれを季節に割り当てました。

春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」。

残った「土」はどこにも当てはまらなかったため、季節の節目に割り当てられたのです。

 

土用の期間中は、「土の神」とされる土公神(どくじん)が大地を守っているとされ、土を動かす行為ー例えば畑を耕したり、家を改築するーといった作業は避けるべきとされてきました。

これが「土用の禁忌」です。

ただし、この期間の中には「間日(まび)」と呼ばれる日が数日あり、この日だけは土を触っても大丈夫とされています。

これは土公神が天に戻り、地上を離れているからという説もあります。

 

現代では迷信と考える方もいるかもしれませんが、こうした考え方の背景には、季節の変わり目に無理をして体調を崩さないように、という生活の知恵があったのです。

 

 

なぜ「丑の日」に「うなぎ」?

「丑の日」は十二支の中の一つ。

昔は日付にも干支を割り当てていたため、「丑の日」も12日おきにやってきます。

つまり、土用の期間中に何度か丑の日が訪れることも珍しくありません。

 

「土用の丑の日」にうなぎを食べるようになったといわれる最も有名な説は、江戸時代の学者・平賀源内によるもの。

あるうなぎ屋が夏場の売上不振を相談したところ、源内が「丑の日には“う”のつくものを食べるとよい」と助言。

その結果「本日 土用丑の日」の貼り紙を出したところ大繁盛となり、この習慣が広まったと言われています。

 

実は、うなぎが栄養豊富で滋養強壮に効果的だという認識は、もっと古くからありました。

奈良時代の「万葉集」にも、夏痩せに悩む友人に「うなぎを食べるように」と詠んだ歌が残っています。

参考

石麻呂に われもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ(大伴家持)

当時の人々も、暑さに弱った身体を癒すために、自然の中で得られる栄養価の高い食材に頼っていたのです。

 

「土用の丑の日」に食べるべきものは、うなぎだけではありません。

他にも、「うどん」「梅干し」「瓜」「牛肉」など、「う」のつく食べ物を口にすると縁起が良いとされてきました。

これは語呂合わせに由来しつつも、どれも消化に良かったり、夏に不足しがちな栄養を補うものが多く、理にかなっています。

食欲が落ちがちなこの季節に、体にやさしい「う」の食べ物を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

うなぎ資源の保護

近年、うなぎは絶滅危惧種に指定され、その未来に暗い影が差しています。

環境省は2013年にニホンウナギを絶滅危惧種に、国際自然保護連合(IUCN)も翌年に絶滅危惧IB類に指定しました。

漁獲量の減少は1970年代から顕著で、取引量も価格も激変。

この状況を受けて、日本では完全養殖の技術開発が進められ、食品ロス削減や代替うなぎ製品の普及も始まっています。

うなぎは日本の伝統食の一部でありながら、その継続には私たち消費者の理解と選択が問われています。

大切なのは、文化を守ることと自然資源を保護することのバランスを見つけることです。

 

 

まとめ

2025年は、7月に2回の「土用の丑の日」がやってきます。

一の丑:7月19日、二の丑:7月31日

この機会に、ただうなぎを食べるだけでなく、その背景にある文化や思想、そして今の地球環境の課題に目を向けてみてはいかがでしょうか。

そしてぜひ、「う」のつく食べ物を取り入れながら、心と体を整え、健やかな夏をお過ごしください。

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