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鉛筆の芯の濃さ|何が違うの?

一般的によく使われる鉛筆は2BやHBですが鉛筆の芯の濃さ(硬さ)は、17種類が定められています。

この鉛筆の芯の濃さ(硬さ)は一体何が違うのでしょうか?

ここでは、鉛筆の芯の濃さ(硬さ)の違いの出し方・「H・F・B」の意味について説明します。

 

 

鉛筆の芯の濃さの違い

鉛筆の芯の成分

鉛筆の芯は、主に黒鉛と粘土から成り立っています。

これらの成分を混ぜ合わせ棒状に成形し、その後1000℃以上の高温で焼き上げられています。

鉛筆の芯の成分はすべて自然界に存在する素材です。

黒鉛は、炭素から形成される鉱物で、石炭やダイヤモンドと同じグループに属し鉛は含まれていません。

英語ではこれをグラファイトと呼びます。

 

鉛筆の芯の濃さの調整方法

鉛筆の芯には、様々な色の濃さや硬さのものがあります。

これは、黒鉛と粘土の混合比率を調整することで変えることができます

粘土は、小学校の工作の時間などでよく使われる素材ですが、陶器や磁器、瓦などの製造にも使用されます。

粘土は熱を加えて焼くと硬化し、冷めても元の状態には戻りません。

 

粘土の比率を増やし、黒鉛の比率を減らすと、硬い芯ができます。

逆に、粘土の比率を減らし、黒鉛の比率を増やすと、柔らかい芯ができます。

 

鉛筆で紙に文字を書くことができるのは、芯から削れた黒鉛の粉が紙に付着するからです。

硬い芯の場合、黒鉛があまり削れないため、紙に付着する黒鉛の量が少なく、結果として文字は薄くなります。

一方、柔らかい芯の場合、黒鉛がより多く削れるため、紙に付着する黒鉛の量が増え、文字は濃くなります。

例えば、HBの芯の場合、黒鉛と粘土の比率は、黒鉛が65%、粘土が35%となっています。

 

 

鉛筆の芯の濃さ(硬さ)の種類

鉛筆の芯の濃さ(硬さ)は、日本産業規格(JIS)により、以下の17種類が定められています。

鉛筆の芯種類

9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6B

 

ここで、9Hが最も薄く(硬く)、後方に進むほど濃く(柔らかく)なります

BはBlack(黒)の頭文字、HはHard(硬い)の頭文字を表し、FはFirm(しっかりとした)の頭文字を表します。

一般的には、2Hから2Bの芯がよく使われます。

しかし、3Hから7Hの芯は製図用途、8Hと9Hの芯は金属や石材などの紙以外の素材への筆記用途、そして3Bから6Bの芯はデッサンや絵画用途に使用されます。

 

 

鉛筆の文字が消しゴムで消える仕組み

紙に書かれた文字は、鉛筆の黒鉛が紙の繊維の間に入り込んで付着しています。

この付着力よりも消しゴムの表面の摩擦力の方が強いため、消しゴムを使うと黒鉛の粉が紙から剥がれ、ゴムによって包み込まれて取り除かれます。

これが、紙に書いた文字が消しゴムで消える仕組みです。

消しゴムの主成分は、ポリ塩化ビニルというプラスチック素材です。

 

 

色鉛筆の芯

色鉛筆の芯の成分

色鉛筆の芯は、色を生み出す顔料、ろうそくの製造に使われるワックス(ロウ)、柔らかな鉱物であるタルク、そして固化させるための接着剤を混ぜ合わせ、乾燥させて作られます。

色鉛筆の特性として、ロウが紙の繊維に浸透するため、消しゴムで消すことはできません

色鉛筆の色名は、日本産業規格(JIS)により48色が定義されており、それぞれに色相、明度、彩度の色度が設定されています。

 

色鉛筆の製造過程では、顔料を焼き固める工程は行われません。

これは、焼き固めると顔料が変質し、色が変わってしまうためです。

そのため、色鉛筆の芯は折れやすいという欠点があります。

これを補うために、色鉛筆の軸は力が均等に分散するように円柱形状に成型されています。

 

色鉛筆の芯の濃さ(硬さ)

色鉛筆は、材料や製法が鉛筆とは異なるため、濃さ(硬さ)の表現も鉛筆とは異なります。

色鉛筆の芯の濃さ(硬さ)は、硬質、中硬質、軟質の3種類があります。

硬質は製図用途、中硬質は事務用や図画用途、軟質は陶磁器や金属など、紙以外の素材への筆記用途に適しています。

色鉛筆の芯の濃さ(硬さ)は、ロウや接着剤の配合比を調整することで変化します。

 

 

まとめ

鉛筆の芯は主に黒鉛と粘土から成り立っています。

黒鉛と粘土の比率を調整することで、書き出す文字の濃さを変化させることができます。

 

一方、色鉛筆の芯は顔料、ワックス(ロウ)、タルク、そして接着剤から作られています。

色鉛筆の色は顔料によって決まり、その濃さ(硬さ)はワックスや接着剤の配合比によって調整されます。

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