公園や森の近くの川沿いで、真っ黒なトンボを見かけたことがありますか?
黒猫と同様に、黒いトンボも時折不吉な存在と捉えられることがあります。
しかし、実際には全身が黒いトンボは神の使者とされ、幸運のシンボルと考えられています。
この記事では、黒いトンボについて詳しく解説します。
黒いトンボの名前と種類
黒いトンボは、主にアオハダトンボとハグロトンボの2種類が存在します。
これらは見た目が似ているものの、それぞれ独特の特徴を持っています。
ハグロトンボ
ハグロトンボは、流れがゆるやかな川でよく見られる種類です。
その名は、黒い羽の色がかつての「おはぐろ」(歯を黒く染める習慣)に似ていることに由来します。
分類 | カワトンボ科 |
体長 | 約60mm |
生息地 | 本州、四国、九州 |
観察時期 | 6月から10月 |
アオハダトンボ
アオハダトンボは、特に水質の良い里山の川で見られます。
ハグロトンボと比べて生息数が少なく、準絶滅危惧種に指定されています。
河川の開発などにより、その生息地が脅かされることもあります。
分類 | カワトンボ科 |
体長 | 約55mm |
生息地 | 本州、四国、九州 |
観察時期 | 5月から7月 |
黒トンボが見られる時期
ハグロトンボは6月から10月にかけて姿を見せ、アオハダトンボは5月から7月にかけてみられます。
特に、お盆の時期に多く見かけられるハグロトンボは「神様トンボ」としても知られています。
4か月にわたる観察期間があるため、観察の機会が多くあります。
黒トンボの生息環境
ハグロトンボやアオハダトンボは、穏やかで水生植物が豊富な川沿いで見つかります。
彼らの生息域は本州、四国、九州、そして屋久島に広がり、公園や川辺などで簡単に観察することができます。
木々が密集した森や、日当たりの良い川沿いなど、さまざまな環境で見られることが特徴です。
東京では、井の頭公園でハグロトンボが観察されています。
黒トンボと一般のトンボの違い
飛び方
一般的なトンボは、羽を素早く動かすことで高速で飛び、空中で静止することもできます。
一方、黒トンボは羽をゆっくりと動かしながら飛ぶため、蝶のように優雅で印象的な飛び方をします。
羽
黒トンボは、オスもメスも共通して黒い羽を持っています。
他のトンボが持つ半透明の羽とは異なり、黒トンボの羽は不透明で、背景を透かすことはありません。
神様トンボ
黒トンボは「神様トンボ」や「極楽トンボ」「仏トンボ」とも呼ばれており、その理由は翅を開閉する動きが、まるで手を合わせて祈っているように見えるからです。
このため、古くから神の使いとして尊ばれてきました。
ある地域では、子供たちに「神様トンボを捕まえてはいけない」と教えられており、黒トンボのゆったりとした飛び方が捕まえやすいことから、特に敬意を持って扱うようにと教えられています。
黒トンボと祖先の霊 お盆の時期に黒トンボが多く飛び交うことから、「祖先がトンボの姿で帰ってくる」と信じられています。
また、黒トンボが祖先の霊を運ぶ存在とされ、夜に黒トンボを見かけることは幸運の前兆とされることもあります。
まとめ
この記事では、黒トンボの特徴や象徴的な意味を詳しく解説しました。
黒トンボは生息地が限られているため、まだ目にしたことがない人もいるかもしれません。
昔から「神トンボ」や「極楽トンボ」「仏トンボ」と呼ばれ、その優雅な飛び方はまるで蝶のように美しいとされています。
この夏、静かな川や水生植物が豊かな場所を訪れて、この魅力的なトンボを観察してみてはいかがでしょうか。